ブログ 2025/7/1
整形外科を受診した際、「まず痩せなさい」と言われた経験がある方は少なくないと思います。
その言葉には確かに一理ありますし、医師の立場としても妥当なアドバイスなのだと思います。
実際に自分の体でいろいろと変化を体験してみると、「痩せる」ことの良さがわかってきました。
体重の増減で変わるシートの位置と身長
私自身、体重の増減を繰り返す中で、ある違和感に気づきました。
車に乗ったとき、シートポジションがいつもと違うんです。
「こんなに遠かったっけ?」と思って前にずらしたかと思えば、別の日には「狭すぎるな」と感じることもある。
これはきっと、体に付いた脂肪の厚みによって、関節や骨盤の位置が微妙にズレているのだと思います。
また、一時的に痩せた時期には、今までよりも身長が2センチほど高くなっていました。
骨が伸びたわけではありません。
おそらく、関節の可動域や姿勢の改善によって、重力方向にかかる圧が変化した結果だと考えています。
「体型なんて関係ない」では済まされない現実
こうした体験を通じて、「体型なんて気にしなくてもいい」という考え方に、少し疑問を感じるようになりました。
そもそも、太ることで関節のゆがみが生じるという事実。
これは見過ごせない重要な視点です。
お腹が出ると、体はこうバランスを取る
太ってくると、特にお腹まわりの脂肪が増え、重心が前に傾きます。
つまり、**腹部が「前荷重」**になるのです。
この前荷重を打ち消すために、**胸郭や背中は「後ろ荷重」**になって、体全体のバランスを保とうとします。
これは自然な反応なのですが、度を超えると、さまざまな負担が出てきます。
骨盤の傾きと関節のズレが引き起こす連鎖反応
体重増加に伴い骨盤は後ろに傾きます。
すると、大腿の裏側にある**ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)**が緊張し、骨盤の付着部を引っ張ります。
その結果、膝関節が屈曲方向にズレるのです。肌肉にはわずかでも継続的に力が加わっている状態なのですから、膝が痛い、坐骨神経痛が起こってもおかしくありません。
このズレは、実は脳の位置=頭のバランスを保つために起きています。
人の関節は縦方向だけでなく、横方向やねじれも含めて複雑に動きます。
骨盤が開き、股関節が内旋すると、それを支えようとして外旋方向に力がかかる。
こうしたアンバランスが続くと、股関節の隙間が狭くなり、やがて変形性股関節症へと進んでしまうこともあります。
背骨と筋肉、そして椎間板への負担
背骨を支える脊柱起立筋は、本来ダンパーのように柔軟に働きます。
ですが、お腹の重みで後方に引かれると、この筋肉は縮んだままの状態になりやすい。ダンパーもローダウンになると、ストロークが短くなるから硬くしますよね、この状態の時はローダウンな状態で硬いです。
その状態を戻そうと、今度は腸腰筋(大腰筋など)が引っ張り返す。
このせめぎ合いが限界を迎えると、背骨のアライメントがズレ、椎間板の中心にある髄核が押し出されることがあります。
つまり、椎間板ヘルニアです。
痩せたら体が楽になる──でも、それだけでは足りないこともある
実際に太っていた方が痩せると、「体が軽くなった」「関節の痛みが減った」と実感されることは多いです。
私自身もその一人です。
ただし、痩せただけでは、関節の可動域が元通りになるとは限りません。
長年の負担によって動きが制限されていた関節は、痩せてもスムーズには動かないこともあります。
関節の動きを取り戻すサポートも大切です
そんなとき、私たち施術者の出番です。
筋肉のバランスを整え、関節が本来の位置で正しく動けるように調整することで、痩せた体をより快適に、健康的に保つサポートができると考えています。
健康体重を目指すことは、ゴールではありません。
それは、関節を活かし、健康寿命を伸ばすための手段です。
痩せることと、関節の機能を回復させる施術を組み合わせることで、
「歳をとっても元気に動ける体づくり」は、十分に可能です。