背中が痛い。
そう聞くと、多くの方は「背中の筋肉がこっているのかな」「肩甲骨の周りが固まっているのかな」と考えるかもしれませんね。
とくに、肩甲骨の内側あたりがジワジワ痛む、重だるい、夕方になるとつらくなる……。
そんな背中の痛みを抱えながら、毎日の仕事や家事を続けている方もいらっしゃると思います。
今回は、肩甲骨の内側に感じる背中の痛みを入り口にして、「痛い場所だけを見るのではなく、体全体の連携を見る」という考え方をお伝えします。
肩甲骨の内側が痛い……そのお悩み、一人で抱えていませんか?
デスクワークをしていると、夕方になるにつれて肩甲骨の内側が重くなってくる。
パソコンに向かっていると、背中が張ってきて、つい肩を回したり、背中を揉んだりしたくなる。
一度は楽になっても、次の日になるとまた同じところが気になる。
そんなことが続くと、「姿勢が悪いからなのかな」「運動不足だからかな」と、自分の生活習慣に原因を求めてしまいますよね。
もちろん、長時間同じ姿勢でいることや、肩や背中を使い続けることは、背中まわりの負担につながることがあります。
ただ、背中の痛みを考えるとき、私は「痛みを感じている場所だけを見ればいいのだろうか」と考えます。
肩甲骨は、背骨に直接つながっている骨ではありません。
胸郭の上を動きながら、鎖骨を介して体幹側とつながり、周囲の筋肉によって位置や動きが支えられています。
そのため、肩甲骨は腕を動かすときにも、体幹との関係の中で働いています。
ここに、背中の痛みを考えるうえで大切なポイントがあります。
肩甲骨は「背中だけ」で動いているわけではありません
肩甲骨は、骨盤のように体幹の骨格へ直接組み込まれている骨とは構造が違います。
肩甲骨と体幹の間には、肩甲骨が胸郭の上を動くための仕組みがあり、その動きを周囲の筋肉が支えています。
菱形筋、肩甲挙筋、僧帽筋、前鋸筋など、肩甲骨の動きに関係する筋肉は複数あります。
そして肩甲骨を動かすためには、肩関節だけではなく、その先にある肘・前腕・手首・手も一緒に動きます。
肩甲骨は上肢の一連の動きの中の一部とされており、肩甲骨の動きは肩の動きや安定性とも関係していると考えられています。
だから私は、肩甲骨の内側が痛いからといって、最初から「肩甲骨の周りだけが問題」と決めつけないことが大切だと考えています。
背中の痛みは「背中だけの問題」とは限りません
たとえば、腕を使う仕事を長時間続けている方を考えてみましょう。
パソコンの操作、マウスの使用、細かな手作業、荷物を持つ仕事など、私たちは日常生活の中で手や腕を想像以上に使っています。
そのとき、手首や前腕の動きに左右差があったり、肘の動きに制限があったりすると、腕全体を動かすための条件が変わってくることがあります。
すると、肩や肩甲骨の周囲にある筋肉が、その動きを支えるためにいつもとは違う働き方をする可能性があります。
これは「手首が悪いから背中が痛くなる」と単純に決めつける話ではありません。
腕から肩、肩甲骨、体幹へと続く一連の動きの中で、どこかの動きに偏りがないか。
私は、そういう視点を大切にしています。
神経筋整復法では、痛い場所だけを見ないことがあります
ひのくま整骨院で行っている神経筋整復法では、背中の痛みがある場合でも、必要に応じて痛みのある場所から少し離れた関節の動きまで確認します。
たとえば、
- 肩関節の動き
- 肘関節の動き
- 前腕をひねったときの橈骨・尺骨の動き
- 手関節の動き
- 左右の動きの違い
などです。
特に前腕は、手のひらを上に向けたり下に向けたりするときに、橈骨と尺骨が関係しながら動きます。
こうした動きに左右差や制限がないかを確認し、その人の体の状態に合わせて必要な調整を考えていきます。
私が見ているのは、「肩甲骨の内側が痛いから、そこを揉む」ということだけではありません。
肩甲骨を支えている筋肉が、無理のない位置や働き方をできているのか。
そのために、腕の先から肩までの動きに偏りがないのか。
そして必要であれば、体幹や骨盤側にも目を向けます。
ここが、今回いちばんお伝えしたいところです。
痛みを感じている場所と、体の中で負担の偏りが生まれている場所は、必ずしも同じとは限りません。
だからこそ、背中の痛みを考えるときにも、背中だけではなく、腕や体幹を含めた動きのつながりを見ることがあります。
肩甲骨を支える筋肉にも「無理のない位置」があると考えています
肩甲骨の周囲には、菱形筋、肩甲挙筋、僧帽筋、前鋸筋など、複数の筋肉があります。
さらに肩関節の動きには、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋などの筋肉も関係しています。
これらは、それぞれが単独で働くのではなく、互いに協力したり、反対方向へ働いたりしながら腕や肩甲骨の動きを作っています。
そのため、どこかの関節の動きに偏りがあると、周囲の筋肉がそれを補うように働くことがあります。
その状態が続けば、筋肉が緊張しやすくなり、肩甲骨の内側に「張る」「重い」「痛い」といった感覚を生じることも考えられます。
私は、このような状態を体全体の連携の中で生じたひずみとして考えることがあります。
背中の痛みと腰や骨盤の動きが関係することもあります
もう一つ、背中の痛みを考えるときに忘れてはいけないのが、体幹より下の動きです。
たとえば広背筋は、背中から上腕へ伸びるだけではなく、胸腰部の筋膜や骨盤側の組織ともつながりがあります。
そのため、背中の痛みを訴えている方でも、体の状態によっては骨盤の回旋やねじれ、さらに下肢側の動きまで確認する必要があると考えることがあります。
もちろん、「骨盤が悪いから肩甲骨が痛い」と単純に決めつけるものではありません。
あくまでも、
手 → 前腕 → 肘 → 肩 → 肩甲骨 → 体幹 → 骨盤 → 下肢
というように、体は一つひとつの部品が独立して動いているわけではない、という視点です。
背中の痛みを考えるときにも、必要に応じてこのつながりを確認していきます。
痛い場所の筋肉だけが「悪い」とは考えていません
痛みがあると、どうしても「ここが悪い」と考えてしまいますよね。
でも、体にはたくさんの関節と筋肉があり、それぞれが協力しながら動いています。
どこかの動きに偏りが生まれると、別の場所がそれを補うように働くことがあります。
その結果、特定の筋肉に負担が集中して、筋肉が緊張したままになったり、けいれんするような痛みを感じたりすることがあります。
ひのくま整骨院では、このような筋肉の働きの偏りを、体全体の連携という視点から考えています。
「痛いところが悪い」と最初から決めるのではなく、なぜその場所に負担が集まっているのかを体の動きから考えていく、ということです。
神経筋整復法で大切にしている「神経と筋肉の連携」
神経筋整復法では、神経と筋肉、そして関節の動きの連携に着目して、手技による施術を行っています。
イメージとしては、「神経のスイッチ」と考えていただくと分かりやすいかもしれません。
筋肉は、神経からの情報を受け取って働きます。
そのため、筋肉だけを強く押したり揉んだりするのではなく、関節の動きや筋肉が働く位置、左右の動きの違いなどを確認しながら、その人の状態に合わせた調整を考えていきます。
肩甲骨の内側が痛い場合にも、必要であれば肘や前腕、手関節などの動きを確認し、肩甲骨を支える筋肉が無理のない状態で働けるようにすることを目指します。
また、体幹や骨盤側の動きが関係していると考えられる場合には、そちらも含めて確認します。
電気機器などに頼るのではなく、手で体の状態を確認しながら施術を進めていくのが、ひのくま整骨院の神経筋整復法です。
ただし、すべての背中の痛みを筋肉だけで考えるわけではありません
ここは、とても大切なことなのでお伝えしておきます。
背中や肩甲骨周囲の痛みには、筋肉の緊張だけではなく、肩関節の疾患、首の神経に関係する問題、神経や血管が圧迫される状態、外傷など、さまざまな原因が考えられます。
肩甲骨周囲の症状には、筋肉の緊張だけでなく、翼状肩甲骨、肩関節周囲炎、腱板断裂、胸郭出口症候群など、医学的に知られているものだけでも複数の状態があります。
特に、強い痛みが急に出た場合、転倒や衝突などの外傷後、腕や手のしびれ・力が入りにくいなどの症状を伴う場合、腕が上がらない場合などは、自己判断で済ませず、整形外科などの医療機関に相談することをおすすめします。
背中の痛みだからといって、すべてを筋肉や姿勢の問題として片づけないことも大切です。
背中の痛みを「体全体の連携」から考える
肩甲骨の内側が痛いと、「肩甲骨の周りが悪いのかな」と考えてしまいますよね。
もちろん、肩甲骨周囲の筋肉が関係している場合もあります。
ただ、肩甲骨は腕と一緒に動く骨です。
そのため、ひのくま整骨院では、必要に応じて肩だけでなく、肘、前腕、手首、体幹、骨盤、下肢まで含めて、体の動きのつながりを確認します。
痛みが出ている場所だけを見るのではなく、そこに負担が集まっている背景を体全体の連携から考える。
それが、背中の痛みを考えるときの、私たちの一つの視点です。
背中の痛みやしびれでお悩みの方へ
今回お伝えしたように、背中の痛みは、肩甲骨周囲だけを見ればすべて分かるものではありません。
腕の使い方や関節の動き、体幹や骨盤との関係など、いくつもの要素が重なっていることがあります。
そして、腰の痛みや背中の痛み、そこから手足へ広がるようなしびれなど、体の複数の場所に違和感がある場合には、さらに広い視点から状態を確認する必要があります。
ひのくま整骨院では、こうした腰の痛み・背中の痛み・しびれについて、体全体の連携という視点から考えるケースをCASE2としてまとめています。
最後に、少しだけお伝えしたいこと
背中が痛いと、「また痛くなった」「また同じところだ」と、つい痛みそのものに目が向いてしまいますよね。
でも、その痛みを出している場所だけが、すべての原因とは限りません。
体にはたくさんの筋肉と関節があり、それぞれがつながりながら、毎日の生活を支えています。
だからこそ、私は目の前の痛みだけを見るのではなく、その人の体がどのようにつながって動いているのかを確認することを大切にしています。
もし背中の痛みが気になっているのであれば、「肩甲骨が悪いのかな」と決めつけず、一度ご自身の体全体の動きを見直してみてください。
気になることがありましたら、まずはご相談ください。












